こころの壁

桐生選手が日本人初の9秒台!

おめでとうございます。

1998年の10秒ジャストの日本記録が、約20年振りに更新されました。

突破できそうで、できない「10秒の壁」でした。

ひょっとして、日本人に10秒を切るのは不可能なのでは?

このような疑念が頭をよぎったかもしれません。

1950年代、世界では「1マイルの壁」と呼ばれる壁がありました。

人類が1マイル(1609m)を4分以内に走るのは不可能なこと、と思われていたのです。

ところがある選手が初めて4分を切ると、

その後短期間のうちに、この壁を乗り越える選手が次々に現れました。

そして今では、1マイル4分は平凡な記録とさえ言われています。

この2つの事実から、次のことがわかります。

1.そびえ立つ壁であっても、「自分もいける」とわかると、もはや壁ではなくなる。

2.そもそも、その壁自体も、人間が作り出した幻影にすぎない。

 

「こんなの絶対に無理」という感覚のほとんどは、

その人の思い込みにすぎない場合が多いようです。

「だって誰もできないんだから・・・」という思い込みが、

「なあんだ、やればできるんだ!」となると、

それまでは高くそびえていた壁が、一気に低くなります。

誰か一人ができることを証明すると、他の人への安心感となるのでしょう。

最初の壁を乗り越えるまでに長時間かかるわりに、

2人目以降はかなり短時間のうちにその壁をクリアすることからもわかります。

 

「記録の壁」は、目標設定のハードルが高い場合に起こります。

この反対に、自らハードルを下げてしまうケースもあります。

例えば、テストの当日「昨日眠れなくて・・・」とか、

スポーツ競技などでは、「しばらくやってないから・・・」のように、

何かを行う前にダメな理由を口にしたがるタイプです。

 

予め不利なこと、苦手なことをアピールしておくのは、

たとえ失敗しても「やっぱりね」と非難されず、

自分自身のショックも少なくてすみます。

このように、自己防衛の目的で、失敗したときの言い訳を先に作っておくことを、

『セルフハンディキャッピング』といいます。

もしかすると、周囲も同情的になってくれるかもしれません。

また、上手くいった場合は、

あれだけのハンデがあったのに凄いと、成功の価値を高めることもできます。

 

しかしその一方、セルフハンディキャッピングをする人は、

しない人と比べて、成功する確率が低いというデータもあります。

自分自身に、最初から言い訳をしてしまう心の在り方が、

成功を逃がしてしまうのでしょうね。

 

「10秒の壁」に何度も何度も跳ね返された桐生選手。

それでも諦めずに挑戦し続ける姿や折れない心。

今後、多くの日本人選手がこの壁を乗り越えていくことでしょう。

良きライバルであり、切磋琢磨し合う同士たち。

『こころの壁』を突破するためには、

より高みを目指し、励まし合う仲間の存在も必要なのかもしれません。

 

記録の壁とセルフハンディキャッピング、今回はこの2つについてお伝えしました。

自分自身の壁を突破したい、でもなかなか難しい・・・という方へ。

メンタル強化のご相談、承ります。

 

心理カウンセラー 佐藤城人